ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
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商品カテゴリ: | 人文,思想,学習,考え方
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セールスランク: | 9298 位
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「知」の本当に意味するところ
裁判でソクラテスが「自身がなぜ賢人であるか」についての弁明と、死刑の判決が下され投獄
されてから脱獄できるにもかかわらず、なぜ脱獄しないのかを説得に来た友人(クリトン)に
語っているのが本書である。
ソクラテスは信念の人であり、なにより論理の人である。
本書に書かれている論理は正しい。
そして、その生き方も中国は殷の伯夷・叔斉の如く清廉で筋が通っている。
しかし、一方であまりに論理と潔白さに偏りすぎており、頑なに論理のみを追い求めたが故の
成れの果てという感じもある。
仮に良くないものでも国家の決めたものであり、筋の通ったものであれば受け入れるしかない
という姿勢に本質を見失っているとすら感じてしまう。
「無知の知」だけでなく、目の前にあるものの本質を見出すことが本当の知だと思うのだが。
それは時代や政治の背景が違うが故に仕方のないことなのだろうか。
いろいろなことを考えさえられるが、哲学や思想というよりも文学として十分に楽しめるもの
である。
まずは一読してみることをお勧めする。
正しいことの危険
ソクラテスは正しい
が、問題は「正し過ぎる」ことだ
ソクラテスのロゴス中心主義には驚くべきものがある
彼はロゴスに全幅の信頼を寄せる
彼はロゴスのために死ぬことすらできた
ソクラテスはロゴスの化け物である
偉大であると同時に、危険な思想家である
田中美知太郎訳より読みやすいが、、、(--;)
某所でのディスカッションのネタとして、先に角川文庫で田中美知太郎訳『ソークラテースの弁明・クリトン』を読んでから、参考のために本書も読んで見た。
活字も大きいし、訳文も本書の方がずっとこなれた会話体で確かにこちらの方が読みやすいと思う。
ただソクラテスの言ってる主張には納得できない所が多かった。 例えば、彼は死について全くの無かあの世があるか、のどちらかしかないと言う。そこまでは良い。だが「全くの無」を「夢も見ない熟睡」に例えるのは、詭弁である。人が「熟睡」を有り難がるのは、いずれ目が覚めるからである。目の覚め無い熟睡を望む者は少ないだろう。
又、ソクラテスは「あの世では歴史上の偉人や文豪と会って話ができるのが楽しみだ」と言ってるが、「あの世」で彼らに会えると何故信じるのか不明。孤独な「あの世」かも知れぬのに。
心揺さぶられる言葉
ソプラテスの不運の様を悲しく思うとともに、無実の罪と思う罪名で告発され、懐柔されることなく、自分の主張を「命をかけて」、言い放った。
そこにはアテナイ人としての誇りを持っている。
無知の知
青年を堕落させる悪しき人物として裁判にかけられたソクラテス。本書ではその裁判でのソクラテスの弁明が記述されます。デルフォイでの神託にて、ソクラテス以上の賢者はいないと言われるが、それが何故なのかと自ら問うと、どうやら賢者として名高い人たちは、知らないことを恰も知っている風に装うが、自分は何も知りはしないが、知っているとも思っていないからであった。 以降ソクラテスはこの心構えを青年であろうと老人であろうと無報酬に説いてまわる。メレトスは間違った理由で裁判を引き起こしたが、実際はソクラテスに師事を受けた者たちは、ソクラテスを応援する為に席に出たのであった。しかしながら、僅かながらの差で、ソクラテスの死刑が決まってしまう。それに対してソクラテスは、死を恐れるが為に不正をしないという信念の下、自然と結果を受け入れる・・・。
本書では、ソクラテスの執拗なまでに真理を突き詰め正義を求める徳の高さに感動しました。自らの信念の下に正しいことを言い放ち、社会的に公認されている政治家の虚偽性を暴いていく姿には共感しました。高校の時の世界史の知識だけで、ソクラテスは青年を堕落させた人物だと勝手に思い込んでいましたが、それは裁判を起こす側の公な理由付けでしかなく、事実は真逆であったということが、本書にて明らかにされ、これこそ哲学書の原書を読む醍醐味だと得した気分です。現実にも、実際に不当な理由で正しい人が悪い人として淘汰される件は良くあると思います。仮に自分がそのような立場に置かれた場合、ソクラテスのように、他者から虐げられようとも、自らの正義を貫き通せるだけの強い芯があるのであろうかと、自問される想いでした。入門書としても、繰り返し読むにも、耐える一冊です。
岩波書店
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